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万物観察日記 2000年後半

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2000年12月25日 ( 月 )

「話を聞かない男と、地図が読めない女」を読んだ。

まず第一印象は、「地図を読めない女」ではないか? だったが、それは本筋とは関係ないから置いておいた。

内容は、昔からいわれていた男と女の能力差について、実例をあげて語っているだけ。読むとなるほどという話が多いが、逆にいうと当たり前の話の連続でもある。結局、この本は、そういう話をするときに便利な資料集のようだ。

11月13日の日記に吉田茂総理大臣の伝記をくださった先生の話を書いたが、彼のくださった本の中に、中沢けいの「海を感じる時」があった。先生は「女心も勉強しておけ」とくださったし、この本は女性の手によるものなのだが、「話を聞かない.... 」とは食い違う部分が多い気がする。しかし同時にこれも女性らしい気がする。

この資料集、まだまだ完璧ではないな。日本人向けの修正版が必要かも....


2000年12月24日 ( 日 )

僕は、コンピュータウィルスが恐いのでアウトルックを使わないようにしている。その分あまり有名ではないメーラを使っているとはいえ、これが使い難いと思ったことはない。むしろ無駄な機能がなくて、その点で優れていると思うことが多い。

インターネットエクスプローラやアウトルックなど、既成事実に基づく標準 ( デファクトスタンダード ) となったソフトがある。これらのソフトは有名な大企業が作っているだけに、多機能で優れたソフトなのだが、同時に多機能すぎて使いこなせない、重くて旧型機では使えないといった問題も多い。

一方、個人によって作られたソフトには、単機能ながら軽くて使いやすいソフトが多い。こういったソフトは余計な機能がないから操作を間違えないし、機能が少ないといっても、よく使う機能に限定されているので機能不足で困ることはまずない。

しかしこれらのソフトをPC操作が苦手な者に薦めても、なかなか気に入られない。また使ってもらえたとしても、操作が簡単であるにも関わらず、使いこなせないと言われることが多い。

なぜだろうかと考えていと、彼らは普段から周囲に質問をしながらソフトを使っているということに改めて気づかされた。簡単なソフトを使いこなすほどの能力はなく、複雑なソフトを周囲の人に教えられたままに操作するという状態だったわけだ。

「簡単であることは、最大の機能である」が僕の持論なのだが、「操作してもらうことが一番楽」という事実のほうが大きい....


2000年11月15日 ( 水 )

かふうはよく東急東横線の日吉駅と田園調布駅を間違える。ホームの作りがまったくといっていいほどよく似ているのだ。駅名表示や、外壁の一部の色がみどり色 ( 日吉 ) かむらさき色 ( 田園調布 ) かで区別できるのだが、あわてているとそのことを忘れてしまう。ところが最近、田園調布駅にホームドアがついたおかげで区別しやすくなった。

2000年8月6日より目黒線、東急多摩川線などがワンマン運転を始めた。車掌を乗せず、運転手のみで運転することで人件費の削減を狙っての事らしい。車掌がいなくなる分、安全面に問題がでないよう、ワンマン化された区間にはさまざまな安全装置が導入された。それが田園調布のホームドアや、ホームセンサーである。

東急線に限らず都市部でも人件費削減、リストラを狙ってワンマン化する路線が多い。しかし、そのために設置される安全設備をみていると、本当に経費削減効果があるのか疑問である。

ある路線では、車掌約100人を解雇し、年間5億円の人件費を削減したという。ところがその代わりに導入された安全装置の設備費に20億円もかけたというのだ。4年後には経費削減効果があらわれると発表しているが、果たしてそうだろうか? 自動改札機はたいてい四年もしないうちに新型に置き換わっていないか?

この高失業率の時代、仮に四年以上使って多少の経費削減を行えるとしても、それより人を雇って欲しいと思えて仕方ない。


2000年11月13日 ( 月 )

先日、僕の先生の一人が退任された。別のキャンパス、学科にうつるだけだが、急な決定によるものであった。彼は学科をやめるまえに自分の部屋の荷物を片付けていたが、そのうち必要のなくなった本を一部捨てることになった。僕はそのうちの十冊ほどを頂いたのだが、その中に吉田茂元総理大臣の伝記があった。

森喜郎内閣の支持率が下がっているという。下がっている以上に不支持率の80%という高さに驚かされる。別に先生は「こんなバカな総理の時代だから」と思ってのことではないだろう。ただ偶然にもこんな時にこんな本を頂いたので、昔話を読んでみることにした。

この本を読んで、吉田茂総理の偉大さについてもあるが、それ以上に勉強になったのは戦後の日本の事情であった。読み終えてから思うことは、教科書で書かれている歴史に比べて、物語性がある分、頭の中に入りやすいということだ。

ただ現在の学校の教育にこういった本を使うことはむつかしいだろう。所詮は著者の主観の上にみた歴史でしかないことも間違いないからだ。しかし歴史を知らない若者が多いといわれる時代ならば、主観に基づいた歴史でも少しでも勉強させた方がいいのではないかと思う。かふうは客観的知識も、始めに主観、偏見を持たなければ得られないと思うからだ。

最近、教科書も真実ではないと改めて証明される事件もあった。今、客観的知識と思われていることも真実ではないのだ。正確さに劣るかも知れないが、しかし客観的知識が正確とも限らないのだし、こういった伝記を活用した面白い社会科というのも、価値があると思う。


問題のステッカー
2000年10月17日 ( 火 )

東京急行が10月16日から偶数車両での携帯電話完全禁止を実施した。偶奇どちらも通話禁止、奇数車両はメール利用のみ許可ということらしい。これ自体は非常によい試みだと思う。さっそく16日は電車に乗り込み、これを気にしてみることにした。

車内、各扉の脇にステッカーが貼られていた。全扉の脇に貼ってあるのだから、数としては充分だろう。自分が何号車にいるのか確認していなかったので、これを見る。

目の前のマークは携帯電話のイラストに駐車禁止マーク。なるほど、ここは携帯電話禁止か....では隣へ移動。僕はゆっくり座席にすわり携帯電話の電源を入れた。

ところがしばらくしてこの車両のステッカーが目に入った。やはり、携帯電話のイラストに駐車禁止マークだ。 おや? 偶数車両と奇数車両は交互に連結されているものじゃないのか?

近づいて確認すると、注意書きがかいてあった。その内容は写真の通り....やられた! 騙された。よく見るとステッカーのマークも微妙に違う。完全禁止車両では携帯電話全体にかかるように駐車禁止マークが描かれていて、メール許可車両では口元にかかるように描かれている。

なるほど利用者と電車側の認識の差か。利用者からすると「今までメールも禁止されていたのが、メールは許可された」と認識していたものが、電車側からは「会話に続いてメールも禁止した」という認識だったわけだ。

しかし差はともかく、ステッカーのマークは見易くなくてはいけない。近づいて説明を読まなければ分からないイラストは無意味だと思うのだが....

あともう一ついうならば、半数禁止というのは禁止しすぎな気がする。電波に弱い人が、利用者の半分とは思えないからだ。ペースメーカーなどを利用していない人にとって、携帯電話の操作はそれほど不快なものだろうか? 新聞を広げるのとどちらが邪魔だろうか?


2000年10月04日 ( 水 )

今月6日 ( JST ) 、宇宙飛行士の若田光一さんがスペースシャトルで宇宙に飛び立つ。若田さんの指定した宇宙での目覚まし音楽は全国高等学校野球選手権大会大会歌の『栄冠は君に輝く』だ。野球好きのかふうはこの歌が好きで、携帯電話の着信曲にしてもいる。

前回の向井千秋さんは慶應義塾の『若き血』を目覚まし曲に選んでいる。この歌もかふうの好みの曲で、二人の宇宙飛行士がこの二曲を選んでくれたことがちょっと嬉しい。世界にこの二曲が知れ渡るのは、悪い気がしない。

ところでこの事実に「僕は宇宙飛行士に共通するものをもっている! 」と主張したら「単におまえが合衆国人的性格なだけだ」といわれた。残念。

もう一つ嬉しいことがある。それは今回の目覚まし音楽はNHKの放送でも流してもらえるだろうことだ。いや、流してもらいたいとは思わないが、NHK上層部の人間の心理を想像すると愉快で仕方ない。

前回の『若き血』はNHKでは放送されなかった。日本国内私立大学の曲だからだそうだ。しかし、わざわざ番組の中で目覚まし音楽の話題に触れ、他の飛行士たちの出身校の曲は流しながら、あえて一日無視するとそこがかえって目立つ。最近も、紅白歌合戦に際してテトラポット問題が湧き上がっているが、おかげでテトラポットは注目されるばかり! NHK上層部の人間はなんと楽しい人たちで構成されていることか。


2000年9月23日 ( 土 )

シドニーオリンピック柔道誤審の話は各地でされているようである。誤審についての僕の意見は以前の巨人戦での審判の態度についてと変わらない。ビデオ導入をするべきとしかいいようがない。いくら審判の技術があがっても、限界はあるのだから。

それより気になったのは、解説者の「こんな勝ち方でうれしいのでしょうか!? 」という声である。

うれしいでしょう。ルール上の勝者は五輪のルールで戦って勝って、現に喜んでいるじゃない? 勝者は勝者なりの価値観で動いていて、勝ってうれしいと思っているのだから、「うれしいのでしょうか!? 」という発言は無意味だ。

ルール上の敗者は「感想はありません。弱いから負けただけです」と応えている。そう自分の価値観で現実を認識している。

世の中、現実は一つだが、価値観はいろいろなのだ。そして自分の価値観で、現実を理解し、自分の気持ちを作り出しているのなら、それでいいではないか! この二人は自分の価値観で現実を受け止め、理解しているのに、解説者はなぜルール上の勝者がうれしがっていることを認めないのだろうか! 批判するならばもっと別の批判があるはずだ ( 日本柔道界が一本トロフィーを作ったように ) 。

相手にも価値観があると配慮しようともせず、相手の気持ちを理解しようとしない、解説者の批判に、異文化や他人を認めようとしない思考を感じた。

なおこの判定結果だが、視聴者もルール上の敗者も、またその関係者も、いろいろプラスに捉えることも可能だと思う。


2000年9月21日 ( 木 )

本日より植物観察日記は万物観察日記として復活します。不定期更新です。ちなみに以前の観察対象ですが、この夏は暑かったですね。

昨日、シドニーオリンピックでは、サッカー日本代表が決勝リーグ進出を決めた。32年ぶりの快挙だそうである。32年前に何ヶ国が出場していたのか知らないが、ともかく素晴らしいことである。

ただ、僕はどうにも「頑張れ日本! 」と叫ぶ気になれない。僕は愛国心が薄いのだろうか?

どうも僕には日本という国は大きすぎるらしい。中田が活躍しても、「どこぞの中田さんが頑張ってるなァ」という程度にしか感じないし....


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